Manusを使ってみてClaudeと比較してみた ── SES市場分析のスライドを作らせた話

Manusを使ってみてClaudeと比較してみた ── SES市場分析のスライドを作らせた話

原
公開日:2026/03/26
読了目安:5分

そもそもなんでこれをやろうと思ったか

最近、X(旧Twitter)のタイムラインで「Manus」ってAIエージェントの名前をやたら見かけるようになって、単純にどんなもんなのか気になったんですよね。

で、試しに触ってみるなら普段使ってるClaudeと比べてみたら面白いかなと思って、同じタスクを両方に投げてみました。

先に結論を言っちゃうと、 今回のタスクに関してはManusの方が良かった です。しかもManusは無料プラン。Claudeは月$200のMax 20xで。この辺の話は後で詳しく書きます。


SES市場分析をテーマにした理由

なんで「SES市場分析」にしたかっていうと、単純に自分が今その領域にいるからです。

SES業界って、IT人材が足りない→DXの需要はある→でも単価交渉がキツい→M&Aも活発で業界再編が進んでる...みたいに、いろんな要素が絡み合ってて、分析するにはそこそこ複雑なテーマなんですよね。データを集めて、トレンドを整理して、考察もつけて、最後にスライドとして形にする。ここまでワンストップでやらせたらAIエージェントの実力がよく分かるだろうなと。


Manusってなに?って人向けに軽く説明

知ってる人は飛ばしてOKです。

Manusは中国のスタートアップが作った汎用AIエージェントで、2025年3月にリリースされました。2025年末にMetaに買収されて、今はMeta傘下で運営されてます。

何がすごいかって、ChatGPTとかClaudeみたいな「聞いたら答える」タイプのAIじゃなくて、 「これやっといて」って投げたら勝手に計画立てて、Web検索して、資料作って、完成品を納品してくれる っていう自律型のAIなんですよ。内部で計画担当・調査担当・実行担当・品質チェック担当みたいに複数のエージェントが分担して動く「マルチエージェント構造」を採用してます。

GAIAっていうAIのベンチマークテストでOpenAIのDeep Researchを超えたってことで一気に話題になりました。


実際にやったこと

投げたプロンプト

ManusとClaude(Cowork)の両方に、まったく同じプロンプトを投げました。こんな感じ:

あなたはIT業界に詳しいリサーチャーです。
以下の条件で、日本のSES(システムエンジニアリングサービス)市場の競合調査資料を作成してください。

【調査内容】

  1. SES市場の概要(市場規模、成長率、トレンド)
  2. 主要な競合企業5社のピックアップと比較
  • 企業名、従業員数、売上規模
  • 特徴・強み・差別化ポイント
  1. SES業界の課題と今後の展望(AI活用、内製化の流れ等)
  2. 10名規模のSES企業が差別化するための戦略提案

【資料のデザイン要件】

  • ブランドカラーを使用すること
  • プライマリ: #2563eb
  • ダーク: #1e40af
  • ネイビー: #1e3a5f
  • アクセント: #f59e0b
  • 見出し・強調箇所にブランドカラーを適用
  • グラフや表を使って視覚的にわかりやすく

【出力形式】
プレゼン資料として使える形式(スライド形式)で出力してください。

わりとガチめのプロンプトです。調査項目だけじゃなくてブランドカラーまで指定してるので、デザイン面でどこまで対応してくれるかも見たかった。

出てきたスライド

Manusの成果物

スクリーンショット 2026-03-26 13.53.56.png

スクリーンショット 2026-03-26 13.54.22.png

スクリーンショット 2026-03-26 14.05.24.png

Claude(Cowork)の成果物

スクリーンショット 2026-03-26 14.00.24.png

スクリーンショット 2026-03-26 14.00.30.png

スクリーンショット 2026-03-26 14.00.46.png

使ったプラン

  • Manus :無料プラン(毎日300クレジットもらえるやつ)
  • Claude :Max 20x(月額$200)で Cowork を使用

ここがミソなんですけど、 Manusは無料、Claudeは月$200払ってる状態 での比較です。Claude側はCoworkっていう、2026年1月にProプランにも開放されたエージェント機能を使いました。ローカルファイルの操作やブラウザ連携ができて、Manusに近い「自律型」の動きができるやつです。なるべく条件を揃えたかったのでこの構成にしました。


比較してみてどうだったか

5つの観点で見ていきます。

情報収集力:Manus ◎ / Claude ○

Manusはプロンプトを受け取った瞬間から勝手にWebブラウジングを始めて、SES市場の規模データ、IT人材不足の統計、DX投資のトレンドなんかを片っ端から集めてきました。こっちは何もしてないのに。

Claudeでも同じ情報は引き出せるんですけど、何回かやり取りして「この辺のデータも調べて」みたいに誘導する必要がある。1発のプロンプトで自動的にここまで集めてくるのは、やっぱりManusの方が上ですね。

分析の深さ:Manus ○ / Claude ○

ここは正直、ほぼ互角でした。Manusは集めた情報をきれいに整理して、市場の成長要因と課題をバランスよくまとめてくれた。Claudeもちゃんとコンテキストを渡せば鋭い考察を返してくれます。

ただ、Manusは「自分で情報を集めた上で分析までやる」のが全自動なので、こっちの手間がほぼゼロ。そこは大きい。

スライドの完成度:Manus ○ / Claude ○(ただし方向性が違う)

ここは意外な結果で、 デザイン面ではCoworkの方が良かった です。

Coworkが出してきたスライドは、ブランドカラーの使い方やレイアウトのバランスが洗練されてて、パッと見の見栄えはかなりいい。「人に見せるスライド」としてのデザインクオリティは、正直Coworkの方が上だなと感じました。

一方でManusの方は、デザインこそCoworkに一歩譲るものの、構成の流れ(タイトル→市場概況→競合比較→課題→戦略提案→まとめ)がしっかりしてて、図表も入ってて、内容面でのまとまりが良い。 しかも消費クレジットはたったの約170cr 。無料プランの1日分(300cr)の半分ちょいですよ。正直驚きました。

で、デザインだけ見るとCoworkに軍配が上がるんですけど、次の「データの整合性」で大きな差がつきました。

プロンプトに対するデータの整合性:Manus ◎ / Claude △

今回、一番「おっ」と思った差がここです。

プロンプトで「主要な競合企業5社をピックアップして、特徴・強み・差別化ポイントを比較」って指定したじゃないですか。この「5社の選び方」がManusとClaudeでまるで違った。

Coworkは、参照したWebサイトの売上ランキング上位5社をそのまま持ってきただけ でした。つまり、売上規模が大きい順にズラッと並べただけ。「特徴・強み・差別化ポイント」を比較したいのに、似たような大手SIerが並んでるだけだと、正直あんまり比較の意味がない。プロンプトの意図を汲み取れてないなという印象。

Manusは、売上規模が大きいのはもちろんだけど、特徴や強みが異なる5社をちゃんと選んできた。 たとえば技術特化型、大手SI系、人材育成に強い会社...みたいに、比較表として意味のあるラインナップになってた。プロンプトで「差別化ポイントを比較」って書いた意図を、ちゃんと理解してくれてるんですよね。

これって地味だけどめちゃくちゃ重要な差で、 プロンプトの「行間」を読めるかどうか がManusとClaudeで分かれた感じ。見た目がキレイでも中身がプロンプトの意図とズレてたら使えないので、ここはManusを大きく評価したいポイントです。

自律性:Manus ◎ / Claude △

ここがManusの真骨頂。

Manusには最初にプロンプトを投げただけ。あとは放置です。勝手にWeb調べて、情報整理して、スライド作って、完成品を出してくれる。「Manus's Computer」っていうサイドパネルで作業過程がリアルタイムで見えるのも良い。何やってるか分かるので安心感がある。

Claudeは対話しながら一緒に作り上げていくスタイルなので、「おまかせ」は得意じゃない。良く言えばコントロールしやすい、悪く言えばちょっと手がかかる。

作業スピード:Manus ○ / Claude ○

ここは両方ともバックグラウンドで動くので、投げたら放置でOKでした。

Manusはクラウド処理なのでブラウザ閉じても大丈夫。今回は20分くらいで完了。Coworkの方もDesktopアプリ上で勝手に作業を進めてくれるので、PCの前に張り付いてる必要はなかったです。

スピード自体はどっちも大差なし。どちらも「投げて待つ」スタイルなので、この点は引き分けですね。


総合評価

評価項目ManusClaude
情報収集力
分析の深さ
スライドのデザイン
データの整合性(プロンプト意図の理解)
自律性
作業スピード

総合的には、Manusの勝ち でした。

デザインだけならCoworkが上。でも「プロンプトで指示した内容をちゃんと汲み取って、意味のある成果物を出してくれたか」という観点では、Manusが一枚上手だった。見た目がキレイでも中身がズレてたら結局やり直しになるので、実務で使うならManusの方が「一発で使える率」が高いなという実感です。


気になる料金の話

せっかくなので料金も比較しておきます。

Manusの料金プラン(2026年3月時点)

Manusはクレジット制で、タスクの内容によって消費量が変わります。プラン構成は2025年後半に刷新されて、今はこうなってます。

プラン月額月間クレジット同時タスク数ざっくり言うと
Free無料毎日300cr(繰越不可)1お試し用。Chatモードのみ
Standard$204,000cr + 毎日300cr最大20Agentモード解禁。個人利用ならこれ
Customizable$50〜カスタム最大20クレジット量を自分で調整
Extended$200〜大容量最大20ヘビーユーザー・ベータ機能早期アクセス
Team$40/人〜Pro相当最大20チーム向け

年払いなら17%オフ。有料プランだと「Agentモード」(自律タスク実行)が使えますが、無料プランはChatモードだけです。

今回Freeプランで使った結果、 SES市場分析+スライド作成で約170cr しか消費しませんでした。公式の目安ではスライド作成は300〜500crとなっているので、かなり安く済んだ方です。無料枠の300crに対して半分強だから、同じ日にもう1本タスクを回す余裕もある。これは嬉しい。

ちなみにManusは2025年12月にMetaに買収されて、今はMeta傘下です。

Claudeの料金プラン

プラン月額Coworkざっくり
Free無料チャットだけ
Pro$20Cowork使える。普段使いならこれ
Max 5x$100Proの5倍使える
Max 20x$200Proの20倍使える ← 今回これ

今回使ったのはMax 20x($200/月)。Proの20倍の使用量が使えるプランです。Coworkは2026年1月からProでも使えるようになりましたが、Coworkはトークン消費が通常チャットの10〜30倍くらい重い。Proだとすぐ上限に当たるので、自分はMax 20xにしてます。Coworkをガッツリ使うなら正直Max以上じゃないとキツいです。

で、コスパはどうなの?

今回の結果だけ見ると、 無料のManusが、月$200のClaude Max 20xより良い成果を出してしまった 。消費クレジットは約170crで、1日2回は同じようなタスクを回せる計算。

$200。年間だと$2,400(約36万円)。それが無料のManusに負けてるんですよ。もちろんClaudeのMax 20xはCowork以外にも通常チャットやClaude Codeを大量に使えるので、Coworkだけで評価するのはフェアじゃないかもしれない。でも、少なくとも「リサーチ→スライド作成」っていうこのタスクに限っては、$200の価値はManusに負けてました。


とはいえ、Claudeの方がいい場面もある

Manusが全部勝ったように書いちゃいましたが、Claudeにしかできないこと・Claudeの方が得意なことも当然あります。

スライドのデザインはCoworkが上。 今回の検証で一番意外だったのがこれ。ブランドカラーの使い方、レイアウトのバランス、全体の見栄え...デザイン面ではCoworkの方がセンスいいなと感じました。「見た目重視の資料を作りたい」場面ならClaude + Coworkの方がいい結果になりそう。

対話しながらの深掘りはClaudeが強い。 「ここもうちょっと詳しく」「違う切り口で考えて」みたいなやり取りで思考を練っていく作業は、Claudeの方が圧倒的にやりやすい。Manusは「投げたら完成品が返ってくる」タイプなので、途中で方向修正したいときにちょっとやりづらい。

Coworkの外部連携が意外と便利。 Coworkは MCP経由でGmail、Slack、Notionとか141種類以上のサービスとつながるので、「手元のファイルや既存のデータを使って何か作りたい」みたいな場面だと強いです。

正確性はClaudeの方が安心。 今回の比較では問題ありませんでしたが、体感的にClaudeの方が出典や根拠に対して慎重で、嘘をつきにくい印象があります。Manusは自律的にガンガン進む分、たまに「ん?これ本当?」みたいなデータが混ざってることがたまにあります。
コンテキストなしで今回検証しているので、コンテキスト整えてあげればClaudeの圧勝そうですね。

コードを書かせるならClaude。 プログラミング周りはClaudeの方が安定してます。技術ドキュメントの作成も同様。

日本語の自然さもClaudeが上。 Manusの日本語はたまに翻訳調というか、ちょっと不自然なところがある。Claudeの日本語出力は安定してますね。

結局、 どっちが上かじゃなくて、タスクに合わせて使い分けるのが正解 だと思います。


まとめ

今回やってみて分かったのは、ManusとClaudeは「競合」っていうより「得意分野が違うツール」だなということ。

  • 「これ調べてスライドにまとめといて」系のタスク → Manus
  • 「一緒に考えながら作りたい」「コード書いて」系のタスク → Claude

SESに限った話じゃないですけど、AIツールがどんどん増えてく中で、「どれが最強か」を追いかけるより、 それぞれの特徴を把握して場面に応じて使い分ける 方がよっぽど生産性上がります。

Manusは無料でもかなり使えるので、まだ触ったことない人はとりあえず1回試してみるのをおすすめします。170crでスライド出てきたときは普通に感動しました。


この記事は2026年3月時点の情報です。どっちのツールもアップデートが速いので、最新情報は公式で確認してください。